フランス文学
三島由紀夫のフランス文学講座 (ちくま文庫)
フランス文学は、「小説の方法」の宝庫である。小説の方法論を常に意識し、模索していた三島由紀夫は、フランス文学から多くのインスピレーションを受けてきた。本書は三島のフランス文学に関する著述を網羅している1冊である。編者の鹿島茂は、三島のフランス文学批評が、仏文学者からも国文学者からも軽視されてきたことに苛立ち、本書を編纂したのだという。なるほど、これほど明快に近現代のフランス文学を展望し、その本質をわかりやすくえぐり出した書物というのはほかに見あたらない。少年期に影響を受けたラディゲから、サド、プルースト、バタイユと、多分に「ミシマ的」なチョイスではあるが、批評家三島由紀夫の分析は鋭利かつ明快で、まさに「文学講座」という名にふさわしい本に仕上がっている。三島由紀夫解読の一助としても良いし、またフランス文学を読む手引きとしても役立つだろう。(三木秀則)







